MBA合格までの軌跡④(気持ちと状況の変化)
海外MBAのうち、欧州のINSEAD、IMDとアジアのシンガポール国立大学の3校をターゲットとして準備を開始したことを前回書いた。
海外MBA受験で多くの方が苦しむのが、GMATやTOEFLなどのテストのスコア対策だろう。もちろん、最大の関門はエッセーであり、インタビューだったりするのだが、実際には、海外MBA受験志望者のうち、数多くの人がスコアが上がらないことで出願自体を延期したり、志望校を変更したり、中にはMBA受験自体を断念することも少なくないはずだ。
私自身もINSEADのRequirementにMinimumで110(120点満点)と書いてあったので、はじめてTOEFLを受験する際に、「今回は最低でも90点は取りたい」と思っていたものの、全くダメで70点だった時には卒倒しそうになった。
実際、その後の対策でスコアは挙がったのだが、それでもなかなか100点を超えるまでにはいかず非常に苦労したのである。
また、並行してGMATの準備も行ったのだが、こちらもINSEAD受験の場合、Minimumで700点という話を聞いていたのだが、模擬テストの出来があまりに悪く、想定スコアで500点を切ったため、途方にくれたことを覚えている。
さて、このような「不可能ではないけれど相当ストレッチした努力が必要」な状態で受験対策に取り組む一方で、この時期は仕事面では多数のプロジェクトのリードや相次ぐプロジェクトの新規大型受注、海外新規プロジェクトの立ち上げと、多忙だけれども多くの成果を出せるようになってきていた。
この時期、本社のNYから来たシニアパートナーとの面談があり、自分自身の希望としてMBA取得を考えていることを伝えたのだが、パートナーからは「せっかく仕事で順調に成果を出しているのに、キャリアを中断するのはもったいない。もし行くのであれば、仕事を続けながら受講できるエグゼクティブMBAのほうが良いのでは」というアドバイスもあり、気持ちが非常に揺れたことを覚えている。
実際、MBAで学ぶことはその多くが、書籍や日本のMBA講座でも学べるものであり、キャリアを中断し、しかも数千万円という多額の費用を投じて取得するのは、私にとっては、経済合理的にはありえないと思い始めていた。
また、早いスピードで昇進もできたため、現職のコンサルティングファームにMBA取得者が入社する場合のポジションよりも高いポジションで既に仕事ができていたこともあり、現職を続けるのであれば、MBA取得は必ずしもMustとはいえないという状況でもあった。
コンサルティングファームへの転職後、仕事を行う上でMBAが必要だと思い、海外MBAを志したものの、既にその仕事で成果が出ており、昇進も順調で、今後も仕事を続けたほうが、収入面でもキャリア構築面でもメリットが大きいことを感じていた。
もちろん、MBAを取得して経営知識を体系的に学びたいという気持ちや学生の身分に戻って自分のキャリアを冷静に見直すきっかけにしたい、海外の友人を作りたいという気持ちもまだ持っていた。ただ、それはシニアパートナーからアドバイスされたように、働きながらエグゼクティブMBAに通うことでも達成できそうな気がしていたのである。
このように、海外MBAを志した頃と比べると、自分自身の気持ちも置かれている状況も変化しつつあった。
この時期は2日間夜中まで勉強をしたかと思えば、その後の3日間は何もしないなど、集中して受験対策を行ってはいなかった(行えなかったと述べたほうが正確だろう)。
自分自身の中でもMBAを取りたいという初心を忘れることもできず、もやもやとした気持ちが拭えずに、すっきりとはしていなかったのだが、成果が出ている目の前の仕事に没頭したほうが良いという考えもあり、極めて中途半端な時期だったように思う。
(つづく)
MBA合格までの軌跡③(海外MBA留学に向けての準備段階)
外資系コンサルティング会社への転職後、同僚やクライアント企業の副社長の話を聞き、海外MBA留学を目指すことになったことを前回書いた。
海外MBAを目指すことが決まった後、私がまず行ったのは、どのMBAを目指すかを決めることだった。
ここでは、海外MBAとして、多くの志望者が目指す3つの選択肢を紹介する。
①アメリカのMBAを目指す
ハーバードやスタンフォードをはじめ、アメリカには世界トップランクのMBAを取得できる大学院が数多くある。そのため、海外MBAを考えた場合に、多くのケースはこの選択肢を最優先とするように思う。
メリットとしては、前述のようにTOPMBAが多く存在すること、特にアメリカでの就職を考えた時には有力であること、同じように全世界から学生が集まるので、ネットワークの構築も有利になることが挙げられるであろう。
一方、デメリットとしては、特にハーバードやスタンフォードをはじめ、近年学費が高騰していることで、生活費も含めると2年間で3000万円程度の費用が発生すること、また後述する欧州のMBAに比べるとアメリカ人比率は総じて高いので、「アメリカ人のためのMBA」という色合いが濃いこと。そのため、真にダイバーシティーが実現された環境で、全世界に友人を作りたいという場合には、疑問が持たれることが考えられる。
②欧州のMBAを目指す
フランスのINSEAD、イギリスのロンドンビジネススクール、スイスのIMDなどの歴史ある名門MBA以外にも最近ではスペインのIEやIESEなどが有名。アメリカのMBAと比べたときの最大の特徴は、期間が1年制であることが多いことだろう。そのため、短期間でMBAを取得したい学生には根強い人気があるのと、私自身もそうだったが、30歳を超えてからMBAを考えた時には、有力な選択肢となるように思う。
メリットとしては、前述の通り、1年制のMBAで短期間でMBA取得が目指せること、学生の構成については緻密に計算されて選択されており、一つの国の学生が多く選ばれることがないよう配慮されている、本当の意味で国際性豊かな環境で学べることが挙げられる。
一方、デメリットとしては、1年制のMBAの場合、通常2年間で学ぶ内容を1年間で学ぶため、非常にタイトなスケジュールになること、またインターンの期間なども十分に取れないことが多く、特にMBA取得後のキャリアチェンジを考える場合には、就活が大変だということだろう。
③アジアのMBAを目指す
最近では、このような本も出ているくらいなので、日本人の志望者も増えているようだ。有名なところでは、シンガポール国立大学、CEIBS、HKUSTなどのMBAが挙げられる。日本企業の海外展開、特にアジアへの展開を考えた時に、アジアのMBAというのは人脈構築の観点からも魅力的だろう。
メリットとしては、比較的アジア人の学生が多いため、アジアでキャリアを築くことを目指す場合には、特に有効であること、また、欧米MBAに比べるとGMATやTOEFLなどのスコアが多少低くてもOKであることが挙げられる。
一方、デメリットとしては、特に欧米でのキャリア展開を目指す場合には、欧米MBAに比べると不利であること、また学生の多くが非英語圏出身であることも多く、英語力の向上に繋がるかは疑問であることが挙げられる。
私は上記のうち、②と③の選択肢を考えていた。年齢的なことも考え、比較的短期間でMBA取得が可能な欧州MBAに魅力を感じたことと、一方、アジアでのキャリア構築は現職の延長上にもあり、現実的に十分有利になることが想定できたからだ。
そして、②と③の中から具体的な志望校としては、INSEAD、IMD、シンガポール国立大学の3校にターゲットを絞った。
いずれも名門校であり、GMATやTOEFLなどのテストでもハイスコアが求められる。ターゲット校選定とともに、続いてこれらのテスト対策を準備しはじめるのである。
(つづく)
MBA合格までの軌跡②(海外MBA取得を考える)
前回はMBAという言葉を知ってから、紆余曲折を経て、現在勤務している外資系コンサルティング会社に入社し、その頃から、MBAの取得を強烈に意識し出したと書いたのだが、それには二つきっかけがあった。
①同僚にMBA取得者が多い
やはり、外資系のコンサルティング会社というところは、MBA後の主な就職先ということもあり、社内にMBAホルダーが非常に多い。
例えば、その当時在籍していた方々が卒業されたMBAとしては以下のような錚々たるトップ校が挙げられる。
<米国MBA>
・ペンシルヴェニア(ウォートン)
・MIT
・シカゴ
・コーネル(ジョンソン)
・ダートマス(タック)
・UCLA(アンダーソン)
<欧州>
・ロンドンビジネススクール
もちろん、MBAを取得していない方で活躍されている方も多くいる。またMBAの取得が直接的にパフォーマンスに寄与しているかどうかは別モノであることも事実である。
ただ、その当時、右も左も分からない中でコンサルティング会社に入社した私には、MBAは今後この世界で生き抜くには必須であることを強く感じた。
というのも、コンサルタントはその分野のプロであることを対外的にも対社内的にも求められるので、広く経営全般に関する知識を習得することは最低限やらなければならないことでもあるからだ。また、コンサルタントは、プロジェクトの提案書をはじめありとあらゆる機会に自分のプロフィールを記載することが多い。そのような時に、MBAという肩書きは、単純に通りが良いということもある。
②あるクライアント副社長のお話
入社からまだ1ヶ月が経っていない頃だったかと思うが、全社のミーティングに、あるクライアントの副社長の方の講演を伺う機会があった。
その方は、ある外資系事業会社でとある部門のアジアの責任者を長く勤められており、その分野では日本の第一人者と言っても過言ではない方である。
講演のテーマは「経営者・経営陣を目指すには」ということだったのだが、その内容は非常にインパクトのあるものであった。
「経営者を目指すには最低限MBAの知識を35までに取得する」
「35歳~40歳までに小さな組織でも良いので、P/L責任を持つ立場で組織をリードし、MBA知識の実践とMBAでは足りないものの存在を十分認識する」
「通常の仕事以外に、毎日最低3時間、経営者に必要な訓練を行う。これを最低10年続ける」
これは、当時まさに私自身がおぼろげながら 考えていたことに極めて近い内容であった。
当時、「1万時間の法則」などで有名になったマルコム・グラッドウェルの本に強く影響されて、自分が今後生きていくために、「何をテーマに」、「どのように」過ごしていくかを常に考えていたのだが、それがまさに「経営者を目指すこと」「そのために通常の仕事とは別に継続して一定時間トレーニングを行うこと」を考えていた。
そして、まずはそのトレーニングの手始めに、「MBAを取得すること」を考え始めていたのである。
私は、この副社長の方のお話に、自分の考えている方向性は間違っていないと言われているような気がして、強く 勇気付けられる気がした。同時に、やはりまずはMBAを取ろうと強く思ったのである。
ちなみに、この副社長ご自身もMITでMBAを取得されているのだが、それもあって、この後海外MBAの取得を検討しはじめるのである。
(つづく)
MBA合格までの軌跡①(MBA取得を考えたきっかけ)
これまでもこのブログで触れてきたが、以前からMBA取得を目指していた。
今回は、そもそもMBA取得を思い立ったきっかけについて、書きたいと思う。
一番最初にMBAというものの存在を知ったのは、大学3年生の頃だった。
ちょうど就職活動をはじめようかというときに、ある有名なコンサルタントの略歴にハーバードビジネススクールにてMBA取得という経歴を見たのが、最初だったと思う。
その当時は、MBAというものは、いわゆる学問ではなく、経営の実践で活動している人が、さらに高度な知識を身に付けるために、わざわざ仕事を中断していく大学院であるという非常に漠然とした知識しかなかった。
当時、私はあるベンチャー企業で毎日早朝から深夜まで働いており、毎日、新しい知識やビジネスの現場で使えるスキルを身に付けることが楽しくて仕方なかった。
そのような環境にいたので、どちらかというと、現場至上主義のような意識が強く刷り込まれていたため、MBAは机上の空論を学ぶ場というネガティブなイメージが強く、どちらかというと否定的であった。
その後、新卒で入社をした企業においても、MBA留学をする方はほとんどいなかったこともあり、20代後半にはMBAとは全く無縁かつ、自分自身も取得をしたいという希望もなく、ただひたすら自分の目の前の仕事に没頭していた。
その後、あるベンチャー企業へ営業部門責任者として転職したものの、創業オーナーの裏切りと不信から早期の離職をすることとなった。
数ヶ月間の個人コンサルを経た後、現在勤務している外資系コンサルティング会社へ入社をするのだが、入社後から強烈にMBAを意識し出したというのが、今に至るMBA取得への道の始まりである。
(つづく)
ステーキハウス精山 @米子
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