MBA合格までの軌跡③(海外MBA留学に向けての準備段階)
外資系コンサルティング会社への転職後、同僚やクライアント企業の副社長の話を聞き、海外MBA留学を目指すことになったことを前回書いた。
海外MBAを目指すことが決まった後、私がまず行ったのは、どのMBAを目指すかを決めることだった。
ここでは、海外MBAとして、多くの志望者が目指す3つの選択肢を紹介する。
①アメリカのMBAを目指す
ハーバードやスタンフォードをはじめ、アメリカには世界トップランクのMBAを取得できる大学院が数多くある。そのため、海外MBAを考えた場合に、多くのケースはこの選択肢を最優先とするように思う。
メリットとしては、前述のようにTOPMBAが多く存在すること、特にアメリカでの就職を考えた時には有力であること、同じように全世界から学生が集まるので、ネットワークの構築も有利になることが挙げられるであろう。
一方、デメリットとしては、特にハーバードやスタンフォードをはじめ、近年学費が高騰していることで、生活費も含めると2年間で3000万円程度の費用が発生すること、また後述する欧州のMBAに比べるとアメリカ人比率は総じて高いので、「アメリカ人のためのMBA」という色合いが濃いこと。そのため、真にダイバーシティーが実現された環境で、全世界に友人を作りたいという場合には、疑問が持たれることが考えられる。
②欧州のMBAを目指す
フランスのINSEAD、イギリスのロンドンビジネススクール、スイスのIMDなどの歴史ある名門MBA以外にも最近ではスペインのIEやIESEなどが有名。アメリカのMBAと比べたときの最大の特徴は、期間が1年制であることが多いことだろう。そのため、短期間でMBAを取得したい学生には根強い人気があるのと、私自身もそうだったが、30歳を超えてからMBAを考えた時には、有力な選択肢となるように思う。
メリットとしては、前述の通り、1年制のMBAで短期間でMBA取得が目指せること、学生の構成については緻密に計算されて選択されており、一つの国の学生が多く選ばれることがないよう配慮されている、本当の意味で国際性豊かな環境で学べることが挙げられる。
一方、デメリットとしては、1年制のMBAの場合、通常2年間で学ぶ内容を1年間で学ぶため、非常にタイトなスケジュールになること、またインターンの期間なども十分に取れないことが多く、特にMBA取得後のキャリアチェンジを考える場合には、就活が大変だということだろう。
③アジアのMBAを目指す
最近では、このような本も出ているくらいなので、日本人の志望者も増えているようだ。有名なところでは、シンガポール国立大学、CEIBS、HKUSTなどのMBAが挙げられる。日本企業の海外展開、特にアジアへの展開を考えた時に、アジアのMBAというのは人脈構築の観点からも魅力的だろう。
メリットとしては、比較的アジア人の学生が多いため、アジアでキャリアを築くことを目指す場合には、特に有効であること、また、欧米MBAに比べるとGMATやTOEFLなどのスコアが多少低くてもOKであることが挙げられる。
一方、デメリットとしては、特に欧米でのキャリア展開を目指す場合には、欧米MBAに比べると不利であること、また学生の多くが非英語圏出身であることも多く、英語力の向上に繋がるかは疑問であることが挙げられる。
私は上記のうち、②と③の選択肢を考えていた。年齢的なことも考え、比較的短期間でMBA取得が可能な欧州MBAに魅力を感じたことと、一方、アジアでのキャリア構築は現職の延長上にもあり、現実的に十分有利になることが想定できたからだ。
そして、②と③の中から具体的な志望校としては、INSEAD、IMD、シンガポール国立大学の3校にターゲットを絞った。
いずれも名門校であり、GMATやTOEFLなどのテストでもハイスコアが求められる。ターゲット校選定とともに、続いてこれらのテスト対策を準備しはじめるのである。
(つづく)